改札口が近づくにつれて、人が多くなっていく。
駅の中は昨日に比べて活気で満ち溢れていた。
忙しいながらも、皆生き生きと仕事を進めているのを窓口の外から眺めた。
駅の朝は忙しい、それが目に見えて少し背筋が伸びた。
「アルス!お前、今日休みだろ。どうした?」
一人の狐耳のような耳を生やした男の人が、窓口から顔を出してきた。
「ちょっとしたぶらり旅にでも行こうかなと」
「急にどうしたーーって、後ろの連れは……もしや?」
「ああ、そのもしや。昨日俺が窓口閉めようとしたら、偶然ね」
「なるほどな。そりゃあいい仕事だ。お嬢ちゃん、何か困ったことあったらいつでも言ってくれよな」
「えっ!あ、はい!!」
こんな短時間で異世界から来た人と認識されてしまうのか。
これは肩身狭い思いをしなくても、受け入れてくれそうだ。



