ボサボサだったであろう髪の毛も綺麗にセットアップされていて、ナチュラルメイクも施されている。
着ていた服はしわくちゃだったのに、クリーニングに出したかのように綺麗だ。
ま、魔法というのは人をダメにしそうなことまで出来てしまうのか……
現代社会を生きる私の生きる世界の人間達は、この魔法を見たら赤子のように泣き叫びながら欲することだろう。
こんなことが出来てもなお、働く人々がいるこの世界はやっぱりすごい。
「こんなことまで魔法使って出来ちゃうんですね」
「んーでもこの魔法を使うのなんて、1年に1回だよ」
「え……?」
こんな便利な魔法があっても、1年に1回しか使わないこの世界は一体どんな暮らしを送っているのか不思議でしょうがない。
「セイラスっていう1年に一度の神々を讃える祭りがあるんだ。その時に自分の魔力に感謝の気持ちを込めて使うんだ」
余程この世界の人は出来ているらしい。
その凄さに力強く頷くしかできなかった。



