【完】キミスター♡

頬をぷくっと膨らませてから、私は続ける。


「他の人にはそんなこと言わないでね?」


すると、翡翠は目をぱちくりとさせてから、意地悪そうにこう言ってきた。


「じゃあ…海夏も楢崎くんと仲良くしないでね?」

「なんでそこで真人が出てくるかなぁ」

「俺の前で他の男子のこと言うのも禁止」


そして、またキスを落とされる。


「もしかして…翡翠ってキス魔…?」

「今まで我慢してきたからね」


そうなの?!

という心の声が聞こえたように、翡翠はくつくつと笑う。


「海夏はいつでも可愛いし、海夏からされると幸せだから…今までは受け身だったけど……今日からはどんどん攻めていくから…覚悟しててね?」


にっこり。


その顔にわたしが弱いこと知ってるくせに!


そう言いたいのに、翡翠は頭を撫でてまたおでこにキスをしてくる。


「あー…なんかエンドレスになりそう。でもここじゃこの先は出来ないから、ね…我慢するよ」

「この先って…?!」

「んー?海夏と俺だけの秘密の時間?」


翡翠の言葉にカァーっと顔を赤くすると、可愛いと言われて、鼻を口唇で突かれた。


「あー…なんでこんなに可愛いかな?ほんと、閉じ込めたいくらい」

「翡翠の天然エロ!」

「天然エロは酷いなぁ…海夏が悪いのに」

「ばかぁ…!」


忙しなく髪を梳いたり、頬を撫ぜたりする翡翠の指が熱を持ってきて、私の顔はどんどん赤くなっていく。
力なくそう抗議すると、ベッドから立ち上がった翡翠が真っ直ぐに私を捉えて…。


「俺だけの海夏。もう、ほんとに…海夏なしじゃ生きてけないから…。息もできないから…」


と言われた。
私はその言葉に、こくんと頷いてから立ち上がって翡翠の胸に飛び込んだ。


「離してって言われても離さないんだからね?!」

「どんなに嫌われても離さないよ…もう二度と」

そうして、私達は暫くの間茜色に染まる病室の中で抱き締め合った。