「…あぁ…あれ、か…」

「真人からも聞いたし…」


そういうと、翡翠の薄い瞳が私を真っ直ぐに捉えて、苦しそうに囁かれる。


「海夏は、俺と楢崎くんのどっちの言葉を信じてくれる?」


そんな言い方は狡いじゃないか…。
そう思っても、私はこう口にしてしまう。


「翡翠の言葉を信じる…」


そんな風に言うと、翡翠が破顔して私に笑みを溢す。


「良かった。これでもし、俺が選ばれなかったら、立ち直れなかった…」


ぎゅう

また強く抱き締められて、私はその背中へとためらいがちに手を回した。


「信じても、いいの?」


とだけ、言う。
すると頭をゆっくりとぽんぽんと撫でられる。


「信じてもらえなきゃ、困る…な」


翡翠は少しだけ苦笑いを浮かべた。