なんで、信じられなかったの?
もっと、上手く立ち回れたはずなのに。
いつもの私なら、笑って傍にいられたはずなのに…もっともっと前向きでいられたはずなのに…。


緋翠にだって、何か事情があったかもしれないのに。

そんなことを思いながらも、私はもがいた。

もう、このまま…いっそ。
呼吸が止まって、緋翠のいない世界から消えてなくなればいい。

…そう、瞳を閉じてもがくことを止め、それだけを願った。
その時、何処からか名前を呼ばれた気がした。
だけど、私は上手にそちらの方を振り向けない。
それでも名前は呼ばれ続ける。
何度も何度も…。