…加害者のくせに、そんな被害者みたいな顔、しないでよ…。


バカみたい。
一人、熱くなって。


私は、弾かれても尚寄って来ようとする緋翠の横を、ダッと擦り抜けて一人、もつれるような足を引き摺りながら走り出した。

流れていく涙を拭おうともせずに。


優柔不断だけど、優しい緋翠が好きだった。
ネガティブでも、私にとってはヒーローみたいに格好良くて、そんな緋翠が大好きで…隙で堪らなかったのに…。


「っ。なんで、こうなるかなっ!」


私は零れ落ちた熱い涙をやっとの思いで拭い、頬に手を当てて口唇をきつく噛んでから、学校へと滑り込んだ。