私の問いに、眉を八の字にして俯く緋翠。

「ごめんね?海夏…」

「なんで…謝るの……?緋翠は何も悪くないじゃん…」

すっかり項垂れてしまった緋翠の手に、自分の手を重ねてなんとか起き上がる。
今度は自分の体温を緋翠に移すように、にっこりと笑顔を向けて…。

「ちょっと熱が出ただけだってば。そんな顔しないの、ね?緋翠?」

「無理してる、よね?」

こういう時、緋翠は人の気持ちに敏いということを痛感させれる。

だから、私は大丈夫だよ、と口にしようとした…なのに。

「海夏は可愛いから…俺、正直どうしていいか分かんないんだ…海夏どんどん綺麗になるし…俺はこんなだし…」

「緋翠……んもー…ばかだなぁ。私はそのままの緋翠が好きだから、付き合いたいって思ったんだよ?」

可愛い本音。
私は、そういう緋翠が堪らなく好きだと思う。

だから、真正面を向いて緋翠の瞳に視線を合わせた。

「ひーすーい?こっち見て?」

「みかー…」

「ほら、こっち座って?」

ぽんぽんと自分の横に誘ってから、今にも泣き出しそうな緋翠を抱き締めた。

「大好きだよ、緋翠。何があっても。信じて?私には緋翠しかいないの。緋翠しか見えてない…それ、信じて?」

そう言って、広い背中を撫ぜると、緋翠はゆっくりと頷いた。