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 月曜日の朝が来た。お弁当は健人がおかず、凛玖がご飯ものを担当することになっている。待ち合わせは駅前で、健人が先にレンタカーを借りて運転する。

「あー!晴れた~!よかった!」
「うん。暑くなりすぎないみたいだし、お花見日和だね。」
「ね。」

 綾乃のロングスカートが風に揺れる。身体を上に思い切り伸ばした綾乃を見つめていると、自然と笑顔になった。

「なにー?」
「いや、デート楽しみだなぁって。」
「あ、お弁当ありがとね。荷物持ちくらいするよ!」
「大丈夫!」
「えー運転も健人なんでしょ?私にも仕事ください。おかず作りだって手伝わせてくれなかったし。」
「…じゃあ…。」

 健人は空いている方の手で、綾乃の手をぎゅっと握った。

「俺の手を握るってお仕事。」
「…それさぁ、仕事じゃないじゃん。」
「大事な仕事だよ。」

 綾乃の空いている方の手がぎゅっと健人の頬をつまむ。

「綾乃ちゃん?」
「顔がねぇ、ほんっと信じられないくらいゆるゆるだからね、健人。」
「だってさぁ、仕方なくない?だって楽しみなんだもん。」
「気持ちはわからなくないけど、今日は二人じゃなくて、他に二人、いるからね?」
「ふぁい!」

 変な返事になってしまったのは、綾乃が指の力を強めたからだった。
 そうこうしているうちにあっという間に駅に着いた。

「綾乃ちゃん、お弁当持っててもらっていい?車借りてくるね。」
「はーい!」

 健人からお弁当を預かり、駅で待つ。すると、すぐに聞き慣れた声で名前を呼ばれた。

「綾乃さん!」
「おー!岡田くんとその彼女さん!」
「はっ…はじめまして!」

 理真のポニーテールにまとめられたストレートの髪が揺れた。