11月。


世間が、やれクリスマスだ、やれ大みそかだ、と騒ぎ立てる1ヶ月少し前の今。



読書の秋だ、スポーツの秋だと、にぎわいもなくただいつもと同じ単調でゆっくりと流れていく時間があるはずのこの時期。



今年は大変になりそうな予感です。















「ねぇ、果乃」


「なぁーに?唯兎くん」


果乃は僕にペッタリとくっついたまま、ノートに字を書いていく。


最近ずっとこう。



急にくっついてきて、甘えた声を出す。


それに満足したら急に布団の中に入って出てこない。


この人たちの中では何かがある時期らしい。



まぁ果乃の場合はそれも可愛くて仕方ないんだけども。



「外に出てみる気とかある?」



「…別に」



あ、これはまずいのか?



声色が急に…。



タイミング…間違えたかも?



「…誰にも…会いたくない。


外なんか、出ないし、出れない」



「果乃…?」



「でも、…やっぱり出たい」



怖い…のかな?



外の世界はいい思い出が悪い記憶に塗り替えられてしまったから。



「うん」



「学校にも行きたいし、唯兎くんとデート行きたい。



それに…んーん、やっぱなんでもない」