────コンコンコン

「果乃」


「…私はいませんっ」



あからさまに嘘だよねそれ。


可愛いけどさ…。


めちゃくちゃご機嫌ナナメ。


「…遅い。…早く来て」


あ、不機嫌だけど、正直。



ドアを開けると、作詞タイムだった。


あれ?この間音当てしてなかったっけな。



「…前のは行き詰まったからしばらく封印なの」



口を膨らませ、ノートに沢山の言葉を並べている。


「ただいま」


「………おかえりなさい」



そのやり取りをした後僕は果乃のアコギを持って隣に座ると、果乃は満足と言わんばかりに笑顔になった。


多分、うん。


ギターを弾けば基本機嫌が良くなることはこの3ヶ月ほどで理解した。


とりあえず即興でなんか頑張ってみる。


すると、果乃はシャーペンを置き、スマホを取り出した。


「…今のメロディもう一回弾いて…?」


「あ、うん」


果乃のイメージにハマったのか、メロディを聞いてキーボードの前に座った。


「…もうしばらく、即興してて、ください」



そう、この時から、僕は何かと果乃の作曲、演奏に絡むことになるのだが、それはまた別のお話。