ガチャ


玄関のドアが開いた音がした。



「ただいまー」



ドアの向こうからくぐもった声が聞こえる。



「あぁ、和馬か」


「私が連れてきますね」



そういうとユキちゃんは部屋から出ていった。


果乃はアコギを片付けると、ベットの布団を整え始めた。



あー、男だもんね。


怖いよね。


そして果乃は布団に潜り込むと頭だけひょこっと出して、なんか、カンガルーみたいになった。



「連れてきました」


「ちゃっす、みかんゼリー買ってきたぞー」



和馬が部屋を見渡し、ベットの中に果乃がいることを確認すると、果乃にみかんゼリーの入った袋を向ける。


果乃は怖がって布団に潜り込んでしまった。


「あー…わりぃ、えっと…」


和馬はベットから少し離れた床に座り込み、ちょんちょんと布団を突いた。


果乃がチラッと布団をめくると和馬は袋を差し出した。


「…ありがと、ござましゅ」


噛んでる。


「うん、チラッとみただけでもだいぶかわいいなこいつ」


「だよね、私もそう思う。


果乃ちゃん、出てきて大丈夫だよ。ただの変態兄貴だよ」



ユキちゃんの言葉にかのはすっと布団から出てきて、和馬をジロジロ見始めた。




「…もうちょっと、小さい方が、嬉しいです」


「うん、無理だわ」


「…頭、悪そうですね」


「失礼だなお前」


「…可愛い子の方が、好きです」


「あ?あぁ、唯兎がタイプと?」