「てかさ?」


「ん?」


「いつから果乃って呼んでんの?」


「え?」


「いや、こないだまで名前で呼んだことなかったじゃん?」



「ま、まぁ…」



向こうに呼んで欲しいって言われたら、仰せのままに、ってなっちゃうよね。


めっちゃ可愛かったし。



『…ねぇ?』


『…私の名前、呼んでくれないの…?』


『…私は唯兎くんって…呼んでるよ?』



上目遣いはアウトだよ。


思い出すだけでニヤける。



「写真ないのー?見たいんだけどー」


「え、ないよ」


「は?一緒に住んどいてないのかよ」


「一緒に住んでたら写真撮るタイミングなくない?」



「あー、まぁそうか」




それから1時間ぐらい勉強して、僕は家に帰った。



果乃の部屋の前に立つと中からアコギの音が聞こえる。



しかも音を探っているご様子。



コンコンコン



「入るよ?」


「…ちょ、っと待って」



それから3分くらい立つと向こうから扉が開いた。


「…いーよ」





何をしてたんだろ。


果乃は本棚から理科の教科書とノートを持ってきた。


僕の隣にちょこんと座ると僕が見つめているのを不思議に思ったのか見つめ返してきた。



うわぁぁ…破壊力だ…可愛い…。


クリクリとした目が僕を捉えると不思議そうに首を傾げた。



「…どしたの…?勉強、しないの…?」