果乃が褒めてくれたのは、きっと僕を認めてくれたってことで。


音楽でこんなにも認めてくれたのは初めてだったかも。


母さんも父さんも専門家でプロだから僕の中途半端な知識とか、技術とかじゃ褒めてはくれない。


周りだって、プロの子どもだからすごい、っていう見方しかしてくれなかったから。


本当に嬉しい。



「ありがと」


「え、なんで泣くの…」



それで初めて、僕が泣いてることに気づいた。


人は認めてもらえるだけで自然と涙が出るんだね。



「そんなに嬉しかった?」


「そう」



僕は果乃を抱きしめた。



「そっか。


私だけじゃないよ?


唯兎くんは投稿だけしてみてないかもしれないけどさ、私のお仲間さんが初めて曲を出したってことで、ネットで話題になってる。


今は『私のお友達』ってみられてるけど、それだけじゃ判断しきれないくらいの再生数が出てる。


うさぎさんは『うさぎ』さんとしてみんなに認められつつある。


一曲出しただけでこうなるのは唯兎くんの才能と努力のおかげだよ?」




僕は果乃の言葉に何も言えなかった。


涙が止まらなかったから。


自分が、ここに存在を認められた気がした。


親とか、立場とか、関係なしに認められたことが本当に嬉しかった。


多分、もう何があっても僕はネットから離れられない。


果乃からも。