「二人で、生き延びようね・・・・・・!」

「ええ、そうね」

珍しく、美月が笑った

わあお!レア!

「そういえば、この前の話しの続き・・・・・・なに?」

「この前?」

「うん。ほら、小学五年生のクラス全員が消えた・・・・・・って話」

いつ鬼が来るのかも分からないのに、あたしたちは呑気に姉妹話をし始めた

「ああ、あれね・・・・・・私の推測では、もしかしたら、は───」

美月の言葉は、そこで途切れた

「走って!」

「え?」

叫び、美月はあたしの腕を掴んで走り出した

あたしも体勢を立て直し、美月に追いつく

どうしたの・・・・・・と聞くまでもない

鬼が、来たんだ

ちらっと後ろをみると、女の子が追いかけてくるのが見える

ああ、もう

なんで、こんな時に来るの

あともう少しで、三十分が経ったのに・・・・・・

「結月」

「え、な、なに?美月」

横にいる美月が、急に喋りだした

「最期くらい、妹らしくしてみれば良かったわね・・・・・・」

「な、なに急に」

「私は少なくとも、アンタに感謝してるわよ」

「だ、だからっ」

怖い・・・・・・

美月は、何をしようとしてるの?

「だから・・・・・・今度は私が恩返しする番ね・・・・・・」

そして、美月は

ふっと、スピードを落とした

「み、美月?!」

慌ててあたしもスピードを落としたけれど、間に合わない

女の子は、すぐそこまで来ていた

「だから、妹からのお願いよ・・・・・・」

"生きて"

そして、また

あたしの目の前で消えていった・・・・・・・