「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ダメ」

美月は、首を横に振った

「捕まってしまった」

ふうと息をついて、美月はくるりと振り返る

その目は、後悔に満ちていた

「今、捕まった。あの鬼・・・・・・『絶対捕まえる』って言ってたから」

そう、なんだ

だからあの時、棗はわかったんだね

「ここに長くいるのは危険。早く行きましょう」

聖歌の状態もだいぶ良くなってきたのを見て、美月が提案した




あたしたちが向かったのは、教室だ

今、わざわざ移動教室に行くより、見慣れた教室に───二年A組に行くほうが聖歌にいいと考えてのこと

そして、A組に向かった

「誰もいないね・・・・・・」

扉を開いて、中に入る

そこは、雑然と机や椅子が並べられているだけだった

歩き疲れたので、自分の椅子に座った

二人もあたしにならって、椅子に座った瞬間

『ガガ・・・・・・ガ・・・・・・・・・・・小野聖歌、羽田美月、羽田結月、逃走確認』

「「「え・・・・・・・・・・・・・・・・・?」」」

今、なんて言った・・・・・・?

とうそう、かくにん?

そりゃ、普通に漢字を当てれば"逃走確認"なんだろうけど

そうじゃない

あたしたちは、そんなミッションを達成した覚えはないっ!

「もしかして、逃走って・・・・・・」

混乱しているあたしの横で、美月が呟いた

「ある特定の鬼から───必ず誰かを捕まえるあの鬼から───逃げ切ること・・・・・・?」