脱出可能枠は一つだけ

「もぅいいかぁい」

「まぁだだよ」

「くすくす・・・・・・」

自分でも驚くくらい、冷静に対応する

「もぅいいかぁい」

「ま、まぁだだよ」

聖歌も一緒になって言う

「もぅいいかぁい」

「まーだだよ!」

「もぅいいかぁい」

「まーだだよ!」

「もぅいいかぁい」

「まーだだよ・・・・・・」

「もぅいいかぁい」

『まぁだだよ』

あたし達五人の声が重なり、綺麗にシンクロする

いつまで、これを続けるのか。これじゃキリないよ・・・・・・

「このまま答え続けながらここから出るわよ」

そっと美月が耳打ちしてきた

このまま、答えながら・・・・・・

そっか

鬼は、この言葉を隠れている人が答え続ける限りそこから離れられないからか

「りょーかい」

小さな声だけれど、美月の声が聞こえたのか、他のみんなも頷く

「もぅいいかぁい」

「まぁだだよ」

そろりそろりと、窓の方へと後ずさる

「もぅいいかぁい」

「まぁだだよ」

そして、窓に手をかけた

ちょうどよく、窓は全開

外は中庭で、少し行けばグラウンドに出られる距離

でも、この校舎からグラウンド・・・・・・

あたし達の子の学校は、三つの校舎にわかれていて、一番遠い校舎に2年A組の教室があるの

そして、ここは一番グラウンドから遠いの

かつ、正門から一番近い校舎

まあ、大丈夫だよね!

「もぅいいかぁい」

「まぁだだよ」

あたしは、窓から飛び降りた

ざっと土を踏みしめ、あたしはあたりを見渡しす

大丈夫。鬼どころか人っ子一人見当たらない

「おっけ。大丈夫」

他のみんなに行って、少し窓から離れる

その間も、「もぅいいかぁい」は続くので、ちゃんと答えなければならない

「もぅいいかぁい」

「まぁだだよ」