脱出可能枠は一つだけ

美月の言う通りだと思うよ、飛翔・・・・・・

「仕方ねえだろ、俺にもわからねえよ・・・・・・だったら、どこにいても同じだろ?」

にかっと、不敵に笑う飛翔。

多分、あたしたちを不安にさせたくないんだろう

この中で唯一の男子。周りは全員女子で、ついさっきまでいたクラスメイトが目の前で消えてしまった

この状態で、よく笑えるなぁと思うけど、これは彼なりの・・・・・・励ましかもしれない

「ま、そりゃそうだよねー。そういや、今何時?」

ずっと存在を忘れていたスマホをスカートのポケットから取り出し、見る

一時半過ぎか・・・・・・ん?

「け、圏外っ?!」

スマホの左上に、『圏外』と表示されていた

「は?圏外?」

「なに、それ・・・・・・」

「ほんとなの?結月ちゃん」

3人が歩く足を止めてあたしの周りに集まる。

紛れもなく、圏外と表示する画面に、思考回路はショート寸前だ

これじゃ、誰も助けを呼べないよ・・・・・・

外に出ることも不可能だよね、どうせ。第一、こんな大掛かりなことをする人が、外に出れるようにするなんてヘマ、しないだろう

ほぼ密室状態になった、この学校

「おい、嘘だろ。信じらんねぇ!」

「あ、あたしもうイヤ!こんな学校、出て行ってやるわ!」

飛翔と美結が突然取り乱した。おそらく、あたしが思ってたことと同じことを理解したんだろう

狂ったゲームで精神を追い詰められた状況下で、密室である学校から、命をかけるようなゲームを延々と続ける

しかも、脱出できるのは、この中で一人だけ