「鬼さんこちら、手のなる方へ!」

あたしが叫ぶと、女の子はワンピースをひるがえしてあたしに向かってくる

今だ!

横一列に並んでいたあたしたちは、一瞬だけあたしの前に出た。それを見たあたしは、みんなよりもひと足早く聖歌と走り出す

裏門とは、正反対の方向限定で

ダダダダダダダダッ!!!!!

引っかかったな!

鬼が向かったのは、飛翔だ

彼は、運動神経がクラスでもいい方。あたしと同じくらい

だから───

「聖歌!」

「う、うんっ」

あたしと聖歌は、手を繋ぎ直し

そして、そこへと走りだした

みんなももちろん、そこへと向かう

そこは、さっきまであたしたちがいた体育館

既に、そこには先客がいるだろう

2人、ね

ガシッと、あたしは体育館の扉───グラウンドに面している側───を掴んだ

この扉は両開きのスライド式の扉なので、この扉を閉めるには二人いる

片方は、あたしと聖歌が

もう片方は、美結、美月が

そして────

「いいぞ!」

体育館の中から、人影が勢いよく飛び出した

その瞬間、あたしたち女子4人は、一斉に扉をスライドさせ

ガンッと音がするまで閉じた

扉を閉め切ると、陽介が鍵を閉める。事前に教員室から盗み出していたものだ

すると

ガチャン!ガンガン!

扉を開けようとするような、抵抗する音がドアから聞こえた

中にいるのは、1人の鬼。女の子だ

「ナイス、飛翔!」

「作戦成功!」