「ぐすっ・・・・・・ひっく・・・・・・」

あの気位の高い愛佳が泣いている

さっき、バイトの事でクラスメイトに少し責められていたのだ

ただ、楓や美結が仲裁に入ったのでそこまで酷くはならなかった

そう思っていると

「次は俺だな」

「え?」

友也?

「は?俺、なんかしたっけ?」

「ああ、したよ・・・・・・これ」

友也もまた、スマホを操作した

そして、あたしたちに見えるように差し出す

「きゃあ!」

女子が悲鳴をあげ

「おい・・・・・・お前っ!」

男子は絶句した

そこには、駅にいる英治が写っている

でも、ただ写っているだけじゃないんだ

その前にいる、制服姿の女の子のお尻を触っているのだ

「・・・・・・」

英治は黙り込む

「俺の勝ちだな」

そして、また一人に

裏切り者が増えた



「なら、あたしも」

次に名乗りを上げたのは、楓

楓が?

「な、なに・・・・・・?」

思い当たる節があるのか、急にしどろもどろになる檸檬

「あたしも、みんなと同じように見ちゃったの。これ・・・・・・」

すっと差し出してきたのは、プリントされた写真だ

そこには、とあるお店の店内の様子。見るからにして、どうやらドラッグストアのようだ

そして、そこに写るのは、もちろん檸檬

ただ、お店の商品を、丁度自分のカバンに入れようとする場面を

ちゃっかり撮っていた

「・・・・・・くっ」

それを公表された檸檬は、俯き、教室の端へ移動した

また、一人

裏切り者は増えていく