ガチャン!

不意に、大きな音がした

「は?な、なんだよ・・・・・・」

智也がドアに近づいていく

そして、スライドさせて開けようとした・・・・・・けど

ガタガタッ!

「おい・・・・・・これじゃ出れねぇよ」

「な、なんですって?」

智也の脱力した声に驚き、愛佳が智也を押しやってドアを開けようとする

が、びくともしない

「うそ・・・・・・っ」

「ねえ、なんで?なんでよっ」

「おい、前畑はなんなんだよ!」

「なんなのよ、このゲームっ!」

クラスメイトが、狭い教室の中で混乱する

すればするほど、周りに感染していく。それが、"不安"

「裏切ればいい」

ふと、そう口にした美月

その一言で、教室は静まり返る

「おそらく、これはペアのどちらかが裏切らなくてはこの教室から出ることは不可能。つまり、第一のお告げをクリアできるのはここにいる半分」

あの女の子に負けないくらいの無機質な声で、言い放つ

それが、逆に怖かった

「え・・・・・・それじゃあ結月は」

「華ちゃんはいなくなった。それはこのゲームに参加しなかった華ちゃんの"裏切り"として扱われるはずよ」

え・・・・・・?

じ、じゃああたしは

「誰も裏切らずに、皆を暫く傍観しろってこと?」

「そうなるわね・・・・・・非は華ちゃんにあるのだから、結月を責める必要はないわ」

スラスラと口にする言葉は、とても冷酷な意味を持つのに

なんで、こんなに冷静なの?

「・・・・・・裏切ればいいの?」

ポツリと、咲が呟く

「ええ、私の考えではね」

さらっとそれを肯定する美月

「なら・・・・・・これでどう?」

咲はゆっくりと自分の私服のポケットから、クマのカバーのスマホを取り出す

そして、スイスイと操作をしていった