でも、おかしいよね?

こんな時間に、中学校に

小さな子がいるなんて

「くすくすくす・・・・・・」

女の子は綺麗な黒髪を揺らしながら教室に足を踏み入れ

ドアの近くにいた華ちゃんの手をつかむ。すると

女の子は、華ちゃんもろともその場から消えた

「は?」

「え?」

女子と男子の声がシンクロする

その場にいる、全員が唖然とした

『ザザッ・・・・・・ガガッ・・・・・・・・・・・・お待たせしました』

不意に、ノイズ音が続いていたスピーカーから声が聞こえた

無機質な、感情のない女の子の声

『只今より、カミサマ鬼ごっこを開始しま────』

「おい!前畑をどこにやった!」

声が完全に流れ終わる前に、飛翔が叫んだ

『彼女には、"なって"もらいました』

「なる?なんにだよ」

『彼女には──────になってもらいました』

相変わらず無機質な声で、そう告げる女の子

『私はカミサマ。これよりルールを説明いたします』

ルールという言葉に、飛翔は黙った

もちろん、全員がスピーカーに注目する

『三十分毎に、私が放送を使って"お告げ"を言います。そのお告げに従ってください。鬼は・・・・・・小さな子供です』

ちいさな、子供?

なにそれ・・・・・・

「なんだよ、小さな子供って・・・・・・!まさか、巻き込んだんじゃ・・・・・・っ」

『それが、彼らに与えられた使命』

有無を言わさない、威厳のある口調

絶対に破ることの出来ない約束のような、そんな感じがする

『それでは、ゲーム開始。第一のお告げは・・・・・・"裏切り"』

裏切り?

『見たところ、パートナーがいるようですので。裏切り、開始』