向かったのは、校門近くの桜の木の下。
もう、思い切り葉っぱばっかで、その近くに咲いてる紫陽花の方に目が行くけれど…。
俺はそっと葉っぱの間から溢れる陽射しに片目を瞑って、「あちー…」と呟いた。
そんな風にしてると、ててててっと向こうの方から小走りで呼び出してきた相手が寄ってくる。
あぁ…あんま、この先今聞きたくねぇ…。
でも、その願いは叶わない。
高揚した顔付きで、相手は俺に潤んだ瞳を向けてくる。
「凪月くん!あの!好きです!」
「……どこが?」
これは、多分今までの俺の行動を知ってるだろう相手からしたら、驚くべきことなのかもしれない。
目の前の相手も、鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔をして俺を見ている。
「…え?えと、あの…」
「あのさ…1つくらい上げてくんないと、分かんねぇよ?」
意地悪な言い方だししらけた質問だ。
結局断ろうとしてるのに、こんなことを言ったら…相手に変な期待を持たせてしまう。



