一度口をついて出てしまうと、箍が外れて次々溢れる。
「好きだよ、陽菜さん」
「…はいはい」
「マジで」
「凪月、待て」
「はぁ…」
こうやって、何回告げても、待てばかり。
だから、俺は弟以下のペットだと思われてるんじゃないかと近頃思ってて。
「はぁー……たりぃー……」
考えんのも面倒で、俺はたんたたんっと体育館の床にボールを弾かせた。
パカッとくす玉みたいに割ってすぐに、その中身が見られるように、陽菜さんの気持ちもすぐに分かったらいいのに…。
どれだけ考えても答えは全然出て来ない。
「そろそろ潮時なのかもな…」
口にした言葉は、自分の物なのに、俺の心臓に冷たく突き刺さった。
まるで透明なようで不透明なガラスの中で、一人藻掻いてる俺。
さそがし、端から見たら滑稽なんだろうな…。



