きみとなら、雨に濡れたい




次の日学校に行くと、「あ、彼氏がきたよ」とクラスメートに指をさされた。その中心には菅野がいて、ああだこうだと俺と柴田のことをみんなに説明している。


はあ、とため息をついて俺は席へと向かった。

隣にはすでに柴田が登校していた。

耳にはイヤホン。ありもしない噂にうんざりしてるって顔だった。


ガタッと椅子を引いてカバンを机の横にかける。柴田と目が合って、聞こえないだろうけど一応「おはよう」と声をかけた。


いつもの柴田なら絶対に無視するはずなのに、口の動きで挨拶されたのが分かったようで「……おはよ」と左耳のイヤホンを一瞬だけ外した。


なんだか昨日から柴田がおかしい気がする。

慌てて帰ってしまったこともそうだけど、噂の根元を作ってしまった俺に怒っていると思ったのに。


「小暮くんが俺の女に手を出すなって言ったらしいよ」

「えーまじで」

……なんだかものすごく噂を盛られてしまっている。どう見ても俺がそんなカッコいい台詞を言うわけがないのに。


……やっぱり柴田の言うとおり否定するべきだっただろうか。


でもあの時は何故か頭に血がのぼっていたんだ。


柴田ひとりに男が三人で寄ってたかっていたこともそうだけど。絶対に助けなんていらないっていう柴田の目。

あんな状況になっても自分でなんとかしようとしていた柴田にムカついた。


放っておけなかった。

柴田が分からず屋すぎて。


そのまま素通りすることなんてできなかった。

柴田に傷ついてほしくなくて。