「花ノ咲にできた雑貨屋さんだよ!」
そんなに強調して言われても知らないものは知らない。私は「へえ」と流しながら、洗濯カゴを脱衣場へと持っていく。
美憂は私が移動するたびに後をついてきて、まるでカルガモの親になったような気分。
「じゃん!!」
突然美憂が私になにかを差し出した。
「なに?」
確認するように振り向くと美憂はニコリと笑って、「はい」と細長い包み紙を渡してきた。
「開けてみて」と言われたので、私はリボンの形をしたシールを破かないように包み紙を開ける。
逆さまにすると、中のモノがするりと私の手のひらに落ちてきた。
それは透明の球体に青色のビーズが入ったシャーペンだった。
「和香ちゃん、誕生日おめでとう!」
太陽のような顔で言われて私は目を丸くする。
……誕生日?そうか、今日だったっけ。美憂に言われるまですっかり忘れていた。
「もしかして、私にプレゼント?」
「うん!」
文房具はデザインよりも機能性だから、こんなにキラキラとしたシャーペンなんて持ってない。
そっと球体を傾けると青いビーズがざあと音を奏でた。
「……海みたい」
自然とそんな言葉を呟いていた。



