きみとなら、雨に濡れたい




『それでね、ひとりの女の子が神様に自分の身を捧げる代わりに雨を降らそうとしたの。そして女の子の死後に雨が降ったって話なんだけどね……』

『なんか作り話の典型的なオチだね』

『もう、最後まで話を聞いてよ!』

また俺は美憂に怒られた。なんだか今までの迷信とは明らかに語る熱量が違うように感じる。

黙った俺を見て美憂は傘の持ち手をくるくると回しながら言った。



『でも本当は雨が降ったのは神様が女の子の願いを叶えてあげたからじゃなくて、残された恋人が彼女の死を悲しんで流した涙が雨になったって話なの』

『その涙が水飴症候群?』

『そう、降りやまない雨を作りだす現象のこと。好きな人を想って泣き続けている涙が雨だなんて、なんだか素敵じゃない?』


同意を求めてくる美憂に俺は『うーん』と、口が重くなる。