きみとなら、雨に濡れたい




「なあ、小暮。この学校もそろそろ本気でヤバいらしいぜ」

授業が終わって10分間の休み時間。前の席に座っている坂口(さかぐち)がくるりと振り向いた。


「ヤバいって?」

「ほら、B組も人数が半分になって一クラスにまとめるって話があっただろ?今からこんな状態じゃ来年の受験もどうせ募集人数が集まらないだろうって」


俺が受験した時も予想を上回るような定員割れだったと聞いている。結果的に受験勉強なんてなにひとつしなかった俺でさえも合格できてしまったわけだけど。


「それって廃校ってこと?」

「いや、どっかと合併するって噂だよ」


合併?それは困る。どうせ吸収されるのはうちの学校だろうし、この校舎に思い入れなんてないけど、この町からは絶対に出たくない。


俺の動揺とは逆に坂口はすごく冷静だった。

坂口とは入学式で仲良くなって以来、こうして休み時間や昼休みを一緒に過ごすことも珍しくない間柄。

男同士であまり密な話はしなくても、坂口が野球少年で小中と野球部に入っていたことは聞いた。

だから、雨のぬかるみで使えなくなったグラウンドを窓から眺めては『野球がやりてえ』といつもぼやいていた。