きみとなら、雨に濡れたい



「でも千紘くんはいい人だし、男の子だけど全然抵抗がないんだよね」

「……いい人なんて、なんで分かるの?」

俺には高木さんが適当に言ってるようにしか聞こえなかった。高木さんは長い髪を耳にかけながら、13歳らしくない少し大人っぽい表情をする。


「だって千紘くん、教室で飼ってる金魚に毎日エサあげてるでしょ?生き物係でもないのに」

そんなことを高木さんが知っているとは思わなかった。


たしかに俺は生き物係でもないのに、窓際の棚に置かれた金魚にエサをあげていた。

世話する人がエサを忘れずにやっていたのは最初だけだし、俺の席はちょうど窓際の金魚の目線にあるから、なんとなく俺がやるようになっただけのこと。


「いつも忘れずに朝と放課後にやってるの知ってたよ」

「だって、やらないと金魚死んじゃうし」

普通のことを言っただけなのに、高木さんは何故かとても嬉しそうな顔をした。


「私ね、そういう命の大切さを分かってる人って一番信用できるの」

ドキッとする笑顔だった。