きみとなら、雨に濡れたい



ざあざあ、しとしと、ばらばら。

雨の音は毎日違う。窓から見える灰色の空はもう見慣れたものになり、季節は当然移り変わるけれど、この一年はずっと同じ景色ばかりを見ている気がする。


「次はここの問題を……」と、数学の先生が生徒に答えさせようと教室を見渡した。


クラスメートは入学した時には28人いた。でも気づけばひとり、またひとりといなくなっていき、今では半分以下の13人しか残っていない。

そんな空席ばかりが目立つ教室で、出席番号順に当てることも今はできないからと先生は適当に指名する。


「じゃあ、小暮(こぐれ)」

なぜか俺が当てられた。窓の外ばかりを見ていたから、先生の視線に運悪く止まってしまったのかもしれない。

教科書なんてただ机に開いているだけのもので、ノートだって文字が書き込まれていない罫線(けいせん)が並んでいるだけ。


「分かりません」

考えた末の分かりませんではなく、はじめからやる気のない分かりませんに、先生はため息をつきながらも叱ることはせずに、そそくさと別の人を指名した。