次の日。学校へと続く通学路には真っ赤な紫陽花が咲いていた。
よく見ると葉っぱにカタツムリが乗っていて、ゆっくりと味わうように食事をしている。
カタツムリは塩をかけると縮むと聞くけれど、このしょっぱい雨の影響はないんだろうか。
俺は傘から手を出して手のひらに雨を受ける。
雨が好きだと言っていた美憂。でも町を日に日に寂しくさせるこの雨はどうだろう。
これが俺の涙だと言っても、きみは好きだと言ってくれるだろうか。
そんなバカなことを考えながら昇降口に着いた。
玄関先で傘を閉じていると、また柴田と遭遇した。少しだけ目が合ったけれど、珍しく先に逸らしたのは柴田だった。
柴田が差していた傘は、ただのビニール傘に変わってた。
『その傘、美憂(みゆ)のじゃない?』
たしかにあの時、柴田は動揺していた。
美憂と同じ香りのシャンプーを使い、つぶつぶオレンジジュースを好み、そして薄ピンク色の傘を持つ柴田。
俺の横を通りすぎていく柴田の目元からは長いまつ毛が見えた。
そのうつ向く目元が美憂と重なって見えたのは――気のせいだろうか。



