そのあと、家を出た俺たちは自然と公園に向かっていた。深紅色の紫陽花に出迎えられて、美憂がメリーゴーランドと名づけた東屋へと入る。
ぽつり、ぽつりと優しい雨の音。
テーブルを挟んで向かい合わせに座った俺と柴田は、同じタイミングで手紙を開けた。
中には便箋が二枚。
綴られていた文字は、間違いなく美憂の筆跡だった。
小暮千紘くんへ
急に手紙なんてビックリしたでしょう?
どうしても伝えたいことがあったので、こうして病室で手紙を書いています。
千紘くん。私たちの出逢いを覚えていますか?
中学一年生の時に、私から声をかけたのがきっかけだったね。
正直に言うと、千紘くんはとても怖い人だと思ってました。
だって、いつもひとりでいて、周りが騒がしいと少しイヤな顔をしてどこかに行ってたでしょ?
人が嫌いなのかなって。変わった人だなって、最初は思ってました。
でも、生き物係でもないのに、教室にいた金魚にエサをあげている千紘くんを見て、私は友達になりたいと思いました。
今でも時々、思い返しては自分を褒めることがあるんだけど、それは勇気を出して千紘くんに声をかけた13歳の私にです。
あれがなかったら、もしかしたら千紘くんはただのクラスメートだったかもしれない。
そう思うと、無性に自分を褒めてしまいます。



