きみとなら、雨に濡れたい




次の日。三日目のテストが行われた。最終日ということもあり、全教科を終えた解放感はクラスメートたちも同じようだ。


「疲れたー。カラオケ行こうよ!」

疲れてるのに何故カラオケに行くのか私にはあまり理解できないけれど、別に誘われたりもしないのでどのみち関係ない。


「テストどうだった?」

そそくさと帰る準備をしていると、小暮に質問された。

テスト勉強なんてしなくても出来のいい彼に聞かれると嫌味に感じるけれど。昨日の図書室で少しだけ不安だった箇所を教えてもらったから文句は言えない。


「多分できた。アンタの教え方に間違いがなければ」

「そう言われると自信なくなるんだけど」

点数が平均以下だったら小暮のせいにしようと思いつつ。私たちの距離感は以前より、少しだけ近くなった。


大切な人を失ったということ。

今よりも過去ばかりに目を向けてること。

この雨の冷たさのように癒えない傷を抱えていること。


誰にも話せなかったこと。話そうとしなかったこと。

世界中で小暮だけは、私の苦しみを分かってくれるような気がした。


「もうあの傘は差さないの?」

自然と私たちは肩を並べて帰っていた。あの傘とは、きっと美憂とおそろいの傘のことだろう。