きみとなら、雨に濡れたい








なにもかもが嫌だった。

毎日苛立っていることも、拭えぬ後悔も、沈まない嫉妬も、姉を想い続ける小暮千紘も、全部大嫌いだった。


――『美憂は柴田のことばっかり話してたよ』

なのに、きみは私を掬い上げてくれる。

私のことばっかり?

私の前では小暮のことばっかりだったよ。そうやって美憂は私たちの架け橋にもなろうとしてくれてたのかな。

聞きたいのに、もう会えない。


美憂が息を引き取るまでの間、私は一度だけ病院に行った。自分の意思というよりはお父さんに『顔ぐらい見せに行きなさい』と言われたから。

教えられた306号室に着いてドアをノックする寸前に、中からの楽しそうな声が漏れてきた。


『高木さんがいないと寂しいよ』と、男女数人の声が交互に聞こえてきて、話の内容から学校の友達だと察した。

『はは。千羽鶴もらったから明日には退院できちゃうかも』と、美憂は笑ってた。

私が顔を見せなくても美憂には訪ねてくる人がたくさんいるし、また双子だと紹介されることが嫌だったので、そのまま私は美憂には会わないで帰った。


それから10日後だった。

美憂が旅立ってしまったのは。