きみとなら、雨に濡れたい




「悪かったな。想像と違って」

「まあね」

おうむ返しのような言葉に自然とお互いの顔が穏やかになる。外はじめじめと湿り気を帯びているのに、空気は不思議と優しかった。


柴田と俺は似ている。

それをいち早く見抜いていたであろう美憂の洞察力に今さら感心しながら。昨日泣きじゃくっていた柴田の心の引っ掛かりもきっと美憂なんだろうと、考えた。

俺たちが同じならば、そうに違いない。


「……美憂は柴田のことばっかり話してたよ」

なにが救いになるのか。どんな言葉を言えば心にある霧が晴れるのかは分からない。

でも、柴田が知らなかった時間の美憂を語ることで、なにか見つかるものがあるんじゃないかって今は思ってる。


「素直じゃないけど可愛くて。お母さん似なのに自分はお父さん似だって言い張って。そんな妹から離れられないって言ってた」

「………」

「でも、甘えてばっかりだったから、妹の気持ちなんて考えてなかったって。仲直りする資格なんてないって悔やんでたよ」


伝えると、柴田はただ外を見つめて「そう」と、ひと言だけを返した。

その瞳が潤んで見えたのは、窓から流れる滴が反射したせいじゃない。


「雨、やまねーな」

俺は小さく呟く。


「うん」

柴田と俺は美憂を想いながら、降りしきる涙のような雨をずっと眺めていた。