次の日。学校に行くと柴田がすでに登校していた。耳にイヤホンをつけて机に顔を伏せている。
他者とのコミュニケーションを遮断している柴田は、クラスメートから見ればすごく気難しそうに見えるんだと思う。
でも、昨日の雨の中で泣いていた柴田はガラスのように繊細だった。
ずっと手に残っていた美憂を抱きしめた感触と、柴田を抱きしめた感触。
俺に約束を託した美憂とは違い、柴田は……まるで雨と涙で溺れそうだった。
テスト期間二日目ということで、今日も学校は午前中で終わった。
みんな早々に帰宅していく中で、俺はカバンを持って図書室に向かう。先週借りていた本を返却するためだ。
図書室は生徒たちが帰った校舎よりも静寂に包まれていた。受付に誰もいなかったので、俺は横に設置されていた返却ボックスに本を入れる。
キュッキュッと上履きが擦れる音を響かせながら、ふと窓際のテーブルに目を向けると……。
そこには柴田がいた。
図書室には対面になれるテーブルがいくつもあるのに、柴田はこちらに背を向けてカウンター式の場所に座っている。
「勉強?」
気づくと俺はなんの躊躇いもなく声をかけていた。
柴田はビックリしたような顔をしてたけれど、以前みたいに睨んだりはしない。
「別に……」
それでも愛想がないところは相変わらずだけど。



