きみとなら、雨に濡れたい




「今度、お父さんのことも紹介するね。前に来てくれた時は千紘くんが学校に行ってる時間だったし」

「運送屋なんだっけ?」

「うん。今は名古屋にいるって言ってた。今度は千紘くんが来てくれる時間に合わせるように伝えておくね」


それはそれで心構えが必要というか……。律子さんの時よりガチガチに緊張してしまいそうだ。


「そういえば妹は?」

俺はベッドの横にある椅子に腰掛けながら聞いた。

あんなに仲良さそうなイメージだったのに、美憂の入院中に一度も妹らしき人はお見舞いにきていない。


「……実は今、喧嘩してて」

美憂が言いづらそうに眉を下げる。


「珍しいね」

なにが原因かは聞かないけれど、美憂はことあるごとに妹の話ばかりをしていたから喧嘩なんて絶対にしないと思ってた。


「でも小さな喧嘩はたまにするよ。口をきかなくなったり不機嫌になったりして最初は私も意地張っちゃうんだけど。結局最後は私が寂しくなって妹に泣きついて仲直りのパターンが多いかな」

「じゃあ、今回のパターンもそれ?」

「うーん」

美憂が珍しく口を濁した。そして……。


「私ずっと甘えての。妹の気持ちなんて考えずに。だから仲直りする資格なんて、もうないかもしれない」