「ずぶ濡れじゃん。どうした?」
私に傘を傾けてきたのは、小暮だった。
会いたくなんてないのに、どうしてひとりになりたい時に限って現れたりするのだろう。
「傘は?とりあえず一旦そこの東屋に……」
手を引っ張られたので、私はすぐに叩くように払った。
「優しくしないでよ」
優しくなんてされたくない。特に小暮には。
「は?意味わかんないけど、絶対風邪ひくから。明日もテストだろ?受けられなかったらどうすんだよ」
「そんなの、アンタに関係ない」
「関係ないけど、お前が困るだろ?早くあっちに……」
「やめてよ、アンタのことも大嫌い!!」
私は小暮の身体を拒絶するように押した。
アンタは知らないでしょう。
私が美憂に対してどれほど醜い感情を持っていたのか。
想像もできないでしょう。
アンタとのことを話す美憂を妬んでいたことなんて。
だって、もて余すほどの友達やお母さんの愛情を受けてるくせに、好きな人ができて、両想いになって、溢れるばかりの幸せを手に入れて。
もういいでしょって。
少しぐらいその幸せを私に分けてよって、何度も心の中で思った。
だから、小暮なんて大嫌い。
美憂のことが今でも好きで、好きで、どうしようもないぐらい好きで。そんなに想われてる美憂が羨ましくて、仕方ない。



