ということで、頑張って階段上って屋上へたどり着く。
なんでここの鍵はいつも開いてるんだろうね。


「うわぁ、綺麗に見える」

雨上がり。
空気が霞むこの時期でもここから見る空はとっても綺麗で

星が、この世界を包んでいた。


「圭介、きてきて」


今度は私が、圭介の手をつかんでフェンスの方へと歩き出す。
なんとなく圭介と二人きりがよくて、優斗くんから離れたんだ。


「星、流れないかなぁ」

「あ、流れ星にするお願い事決まった?」

「んー、そう言われると思い付かないけど…
でも言えたら絶対願いが叶うんでしょ?」

「……うん、叶うよ。絶対」


━━絶対、叶う。

そんなことはきっとない。はず、なんだけど…
圭介の瞳は軽くそんなことを言ってるようには見えなくて、そんなはずはなくても、そんな奇跡を信じてみたくなってしまっている。


「ね、圭介はなに願うの?」

「え、俺?んー…
……幸せになりたい、的な」

「いやそれ無理だと思う」

「え。」


珍しく、すんごい珍しく素直に圭介が似合わないことを言い出した。のに、それを否定する私。さすがだ。


「そんなアバウトな願いはダメだよ。
もっと的確じゃないと。そもそも何が幸せかなんて人によって違うんだから、神様困っちゃうよ」

「……ハハ、そっか。
それもそうだね

んー、じゃあ誰かを守れる男になりたいな」


「守れる?…なんか、最初の幸せとはちょっと違うような」

「んーん、一緒。
ちゃんと俺が守って、俺の幸せは俺が守るの」


空を見ながらそう語る圭介の顔が儚くて、さっきあんな話を聞いたばかりだから


本当は寂しいんだな


そう、感じるしかなかった。
本当は寂しくて、自分だけ置いていかれて

自分がなんとかできたら、って後悔して寂しくなって


「…真希?」


そんな圭介見てたら、なんか抱き締めたくなってて、気づいてたら抱きついていた。


「…お腹すいた」

「ハハ、なんだよそれ。
俺にもたれんなよ」

「もう歩けない。だっこ。」

「アホか。帰るぞ」


私は、圭介を1人にしないよ。
毎日毎日飽きるくらい、…ううん。飽きたって言われたって、毎日一緒にいてやる。

それくらいしか、私にはできないもんね