「空我、目閉じろ」





「うん?」




言われた通り俺は目を閉じた。


なんだ?




「はい、もう開けていいぞ」




首に、金色の長いチャームネックレスが
掛かっていた。




「……え、いいの?」





それは、父さんが休みの日は肌身離さずつけていたものだった。







いつぞや、俺は綺麗だよなって言ったことがあった。





でも、だからって……。




「それはな、一年記念日の時に母さんが俺に
買ってくれたものなんだよ」



え?






「なんで、そんな大事なヤツ……」




……大事に取っておけばいいのに。





「もう俺と母さんはそれが無くても、十分仲が良いからな。今度は空我が仲良くなれるように……まぁ、まじないみたいなものだ」







効果なんて、大してないだろう。








それでも、嬉しくてしょうがなかった。







奈々絵、もしお前が今のボロ泣きしてる俺を見たら、なんて言うのかな……。




……お前からも、祝って欲しかったな。



ピンポーン






「宅配便でーす」






その時、玄関でそんな声がした。