「……いらね」 回復したのか、空我は立ち上がって、トイレから出た。 俺を通り過ぎてずんずんと前に歩く。 「……空我?」 そっと後ろから手に触れると、振りほどかれた。 「あっ、……悪い」 空我は、バツが悪そうに髪を引っ掻いた。 ふーん? 「空我ぁ、お前拗ねてるだろ」 俺は空我の両肩に腕を押し付けて、上から目線で顔を覗き込んだ。 「わっ、……あーもう!!マジでお前うっさい!!」 あぁ。 本当に、わかり易い奴だ。