およそ1時間したら、遊園地についた。


「○○、遊園地楽しみだな」


「うんっ!!」




「…………あっ」

無意識のうちに、俺は喘いでいた。
バイクの駐車場から遊園地の入口が見えて、その前に、3歳ぐらいの男の子とその両親がいた。



両親は子供に、楽しそうに声を掛けていた。



『空我ー、はしゃぎすぎよ』




頭に、母親の声がよぎった。






『ほら空我、何に乗りたい?』




血の繋がりもない父親の声までよぎってくる。




『はい、空我。たこ焼きだよ。あーん』






母さんが、爪楊枝で指したたこ焼きを5歳の俺の口の前に持っていく光景が脳内に浮かび上がった。




『きゃっきゃ』




俺は両隣を両親に囲まれて、楽しそうに笑っていた。









『……貴方なんか産まなければよかった』







なんであんなことになってしまったのか……。




悲観したってしょうがないのか……。




今が楽しくないとは言わない。虐待しなくなって、ちゃんと俺の面倒を見てくれるようになった母さんには感謝してるよ。






でも、やっぱりまだ一緒にいるのは怖い。少なくとも週に一回は、道具だって言われたことや、トイレで死にかけた時のことなんかが夢に出てくる。







自分は本当に愛されているのか、わからなくなるんだ。