「めぐ、む……?」

「もう言わなくていい。もう何も言わなくていいから、泣きたいなら泣けよ」

「……うぁっ、うっ、うっ、うっ」

神様なんていない。
あまりに残酷でつらすぎたあの日常は、いつまでも俺を解放してくれない。

泥沼に足を突っ込んでいて、抜けようと思っても縄で足が縛られて抜けられないようなそんな感覚。

「なぁ、潤、潤か奈々絵が、俺の兄だったら良かったな。そしたらこんなこと絶対なってなかったのに」

思わずそんなことを口走ってしまう。こんなこといっても、潤が困るだけなのに。

「空我、俺は……」

「……冗談。お前の気持ちくらい知ってるし。でも、……高校卒業したら、同居したいな。俺と潤と純恋と桜桃の4人で」


「はぁー。お前、俺の恋を覚ます気ないだろ」

「……だって、潤いねぇとつまんねぇもん。母さんと父さん、怖いし」


「空我、それは……「別に母さんが嫌いなわけじゃないし、ちゃんと反省して俺のこと気にかけてくれるようになってくれてよかったと思ってる。でも、やっぱ普通に話そうと思っても話せなくて、一緒に食事すんのすら怖くてさ。……本当に、ろくに信じられない。……父さん信じられないのは、虐待気づかないで患者の治療してたこのがすごい気がかりで。

……なんか、本当にどうしたらいいのかわかんないんだよ。

……信じた瞬間に、壊れそうで」