潤は何も言わず、続きを聞いた。

「……ゲーセンとか、大抵の場所って高一だと10時くらいまでしか入れないじゃん。
……だから、空き家で寝てた。……風呂も漫画喫茶とか行けば入れるけど、毎日入れる金なんてなくてさ。よく、人気のない池とかで体洗ったりしてた」


「それ、体調大丈夫だったのか?」

「ハッ、いいわけねーじゃん。そりゃあもう、二ヶ月に一回は風邪ひいてたね。しかもそれ、すぐに治んねぇの。短くて一週間で、最悪一ヶ月引き続けてんの。インフルエンザとかかかった時はまじでこのまま死ぬかと思った。……誰も看病してくんねぇんだもん。


俺さ、中二の夏の6月くらいに初めて家追い出されたんだ。追い出されてすぐの頃は友達の家でご飯もらったり風呂いれさせてもらったりした。でもそれ、何日出来ると思う? 3日頼ったら、さすがに友達も聞いてくるんだよ。……母さんどうしたんだって。それで暴力受けてるなんて言えないから、はぐらかして、何とか泊まる口実作ってさ。……でもそれで泊まれる日伸ばせたとしても、せいぜい1週間が限度だったな。


……俺中学の時体育ある日とか学校休むよう言われてたせいで友達少なかったから、頼れるの2、3人しかいなくてさ。そいつらにもう泊められないっていわれてからは、ゴミ捨て場漁った。水道水飲んでも、なんの足しにもなんなくて。

初めて漁ったのは中二の7月くらい。……人がいない朝か深夜に袋開けて、カップ麺とか、パンとか、生野菜とか捨てられてないか確かめんの」