珈琲を目の前のテーブルに置いてから、目を丸くして潤は俺を見た。

「……だって、潤いねぇとつまんねぇもん」

「へぇ?じゃあ勉強頑張んないとなー」

そういい、潤は俺の手からココアを奪ってテーブルに置くと、俺を勢いよく抱きしめた。

「ちょっ、潤いてぇ」

虐待の痣がいたんで、俺は思わず顔をしかめた。

「……空我」

俺の体から手を離すと、突然、低い声で潤は言う。

「なっ、なんだよ」

「見ていい?」

潤が俺のYシャツの第二ボタンを掴んだ。

虐待の傷を見ようとしてるみたいだ。

「はっ?()だよ」

「引かねぇから、いいじゃん」

「やっ、嫌だ……」

涙が流れた。

「悪い。泣くと思ってなかった」

慌てて潤は手を離した。

「いいよ。潤は悪くない。俺が弱いだけ。……風呂入ったり、着替えたりする度に心底気持ち悪いって思っちゃうからさ。お前にも見せらんないくらい」

傷を見る度に生きてるのが嫌になる。死にたくなる。

自分の身体の全てが気持ち悪い。気味が悪い。どうしようもなく。