「はぁ……」

トイレの床に投げ捨てたカバンを雑に掴み、それの埃を払って、本当に潤の家に向かった。

家に帰る気にも、喧嘩をする気にもなれなかったから。

明日の学校は潤の家から行けばいい。でも放課後はどうしよう。母さんに会いたくない。2日も潤の家にいるわけにもいかないから帰るしかないんだけど。


いやまぁあいつは泊めてっていったら何日でも泊めてくれそうだけど。高1の時は1ヶ月居候してたし。


でも、親と仲が緩和したと思われているのに何日も泊まりにいったら、気づかれてしまう。緩和のかの字もないことに。

心配かけたくない。

荒れた時にあいつには負担をかけすぎてしまったから。

潤は、俺と喧嘩した時の傷が痣になってるんだ。それを見ると、これ以上傷つけたらダメだと思ってしまう。


てか、親友は普通に傷つけたらダメだ。奈々絵みたいになってしまう。


無意識のうちに奈々絵のことばっか考えてしまう自分に呆れて、思わず自分を殴りたくなった。


――あいつは死んだんだよ。

……いや、俺が殺したんだ。