女みたいな名前のせいでいじめられた奈々絵は、小さい時から人一倍無愛想で、笑うことが少なく、いつも不機嫌だった。



対して、姉の紫苑は人当たりが良く、誰にでもしたわれたよくできた姉だった。


女なのに奈々絵をいじめた奴を説教してくれたりもした。絵に書いたような理想の姉だったんだ。



要は、なんで姉より弟のお前の方が出来が悪いのに生きてるんだと。そういうことだ。



慕われているのに弟より頭が悪い姉と、誰からも好かれないくせに、姉より頭が良い弟。




2人は、悪い意味で何もかも正反対だったのだ。







“お前が死ねばよかったんだ”




“なんであいつが生きているんだ”






“お前が死んだらどんなに平和だったか”



奈々絵は、親戚の奴らに何度そのような言葉を掛けられたのだろうか。





そんなことを思っている奴らが、奈々絵の葬式に来てくれるはずもなかった。