だが、その直後、ベッドの横の椅子に座っていた父さんが立ち上がって、俺達を見た。

そして、父さんは何も言わずに首を振った。




「……は?」


思わず、戸惑いの声が漏れた。





その行動の意味を、俺は……。いや、きっとここにいる俺を含む誰もが、理解したくなかった。








「…………うっ、うっ、うああああん!!!





嫌っ、奈々っ、奈々、奈々絵ぇっ!!!!」







直後、鼓膜を突き破るのではないかと疑うほど、




大きな赤ん坊のような泣き声が病室に響き渡った。





めぐが、顔に白い布がかかった奈々絵の体を抱きしめ狂ったように泣きじゃくっていたのだ。