と、また口ごもりそうになったけれど。


(花恋、また変な事考えるかも!)


案の定、


「ん?優希?……怜音、やっぱり優希に変な事言ったのかなー?……そういえば私、怜音のメールアドレス知ってるから…メール、しよ……」


(仕方無い、花恋にだけは言おう)


瞬時に判断した私は、ママに聞こえない様に小声で口を開いた。


「花恋、花恋。落ち着いて聞いて。お願いだから変な事言わないでね」


「えっ?…うん、何?」


そして。


3度目の正直と言うのだろうか。


2回のミスから学んだ私は、間を空けずに口を開いた。


「私ね、五十嵐から告白された」




「な……?ごめんね優希、私…。ちょっともう1回言って貰える?」


やはり、彼女にとっては衝撃的らしい。


私は、もう1度同じ事を繰り返した。


「私、五十嵐に告白されて。…それで、私も好きだよって言ったんだ」


「………」


電話口からは、何の音声も聞こえない。


それもそうだろう。


五十嵐に何かを言われる度に、目に涙をためて花恋に助けを求めていた私が。


何度も、五十嵐を苦手だと認識していた私が。


外では女子で家では男子と、事ある毎に自分の性別を変えてきたせいで、恋愛に疎かった私が。


心のどこかでは、彼を好きでいたのだから。


そして、その事に気付いたのが数時間前だったのだから。