物語は、ほぼ女子高校生-舞-視点から描かれている。


舞と同じ高校に通っている男子高校生-遥-は、自分の記憶障害の事を誰にも打ち明けられていなかった。


けれど、遥が記憶を無くす事をある出来事から知ってしまった舞。


彼女はあらゆる手段を使って遥の秘密を聞き出し、ショックを受けながらも、それでも“好き”という気持ちを持ち続けていく。



実際、私は泣いた。


開始約30分頃、映画の中で初めて遥が記憶を無くし、何とか忘れていた部分を思い出した直後の言葉が、私の涙腺を刺激した。


『…俺が記憶を無くす事を、俺の友達はどう思ってるんだろ…?……皆が俺の事をどう思っているのか、俺には分からないっ…!』


表面上は明るく振舞っていても、内心は読み取る事が出来ない。


自分の友達の事が本当に分からなくて、


“誰ですか…?”


と質問をしても、友達は皆笑顔で返答をしてくれる。


けれど、陰では愚痴を言っているかもしれない。


不定期に記憶を無くす彼にとっては、それが何も分からないのだ。



「っ……嫌っ………!」


私は、溢れる涙を堪えきれなくて。


それは、余りにも私の体験と似ていた。