涙で視界が滲んでいく。





……俺は、何年待てばいいんだ。





兄さんが目覚めるのは、一体いつなんだ。







「兄さん……っ」






どんなに泣いたって、現実は変わらない。






代々次楽は暴走族の家庭で、俺の父親は黑蜜蝶(コクミツョウ)という名の族の歴代総長だった。




そして、父さんも兄さんも。もちろん、当時5歳の俺も気づかなかったんだ。




…………その黑蜜蝶の下っ端の中に、喰蝶(ショクチョウ)という名のマフィアのスパイが紛れ込んでいたことに。





十年前、俺はそいつらに目の前で両親を殺され、兄を植物状態にされた。その五年後、俺はどうにか自力で兄さんの体が眠った病院を見つけ出した。






それが、この長谷川総合病院だった。






……俺は絶対に、兄さんをこんな風にして両親を殺した喰蝶を許さない。




――必ず復讐してやる。







喰蝶は俺が潰す。
――たとえ、それで死んだとしても。